カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2005年 07月 16日
「かっこいい」。それが、私がケインズについてまず抱いた感想である。私から見て彼はうらやましくなるほど魅力的な人生を送った人であり、また彼自身も魅力的な人物だったようだ。彼のさまざまな才能は天賦のものがあるようなので私にはちょっと真似できないかもしれないが、一人の人間としてのケインズから学べることはあるだろうか。あるとすればそれは人生を楽しむ能力ではないかと思う。ここで言う(ケインズ流の)人生の楽しみ方とは、一言でいえば、本書にもあるとおり知的に奔放に生きるということである。数学者ラッセルに絶賛されるような確率論の書物を著し、またその頭脳を駆使して巨万の富を築いた。芸術に興味を抱き、自ら劇場を経営し、ピカソなどとも親交を深めた。そして数多くの人たちと愛し合う人生を送った。そういった彼の知的に奔放な活動が、彼の「一応の」本業であった経済学や経済政策の発想に大きな刺激を与えたことは想像に難くない。福沢先生や権丈先生もおっしゃっている「学問に凝るなかれ」とはまさにこういうことなのだろう。ケインズ自身も、「経済学の大家は種々の才能の類まれな組み合わせを要求される点にあるのであろう」と述べている。なるほど経済学だけに没頭していたら、「美人投票理論」という魅力的な喩えも決してでてこなかっただろう。彼はそれを身をもって示したのである。
彼の主張によると、経済というものは非常に危うく、まったく万能なものではないようだ。しかし、経済の動きはもともと人間が作り出しているのだから、人間個人と同じように危なっかしくて気まぐれなのは当然なのかもしれない。むしろ、だからこそ魅力的でおもしろいのではないか。そして、そういう経済学は、人生を愛し、人間を愛したケインズにとって格好の「遊び」であったのだろう。私には、「人生を愛し、人間を愛す」ことはまだできないが、それが魅力的なことだと知った今、それに向かって自分を磨いていくことはとてもおもしろいことだと思った。
by morimoo
| 2005-07-16 01:50
| エッセイ(課題)
|
ファン申請 |
||